創作読物83「何を守るかで、その人間性がわかる」

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

前回は、こちらから

 

「うん。

 でも、平井さん。

 今日はもうタイムアウト、時間切れだよ。」

「あ、

 もうこんな時間なんですね。

 すいませんでした。気づかずに。」

「いやいや。

 私も、なんか夢中で話しちゃって(笑)。

 なので、この続きはまたの機会にね。」

「ええ。

 そうですね、また近々にお願いします。

 特に、体罰のことは…、目下、最大の関心事なんで。」

「なんか、そんな感じだよね。

 妙に熱心というと失礼だけど、

 一生懸命聞いてたからね(笑)。」

「え?

 そうですか?

 実は、次回、先生に聞いてもらいたいことがあって…。」

「そっか。

 わかったよ。

 じゃあ、そう遠くないほうがいいね。」

「はい。

 できたら、次の金曜日なんか、どうですか?」

「うん。

 時間は、また今日と同じかな?」

「ええ。

 7時で大丈夫ですか?」

「OK。

 じゃ、空けとくよ。」

「ありがとうございます。」

「あ、それとね、平井さん。」

「は?」

「帰り間際に、またマジな話して悪いけど…。」

「いえいえ、なんですか?」

「うん。

 さっき…、

 偽ぺスタは、なかなか見破るのが難しい、って話したでしょ?」

「ええ。」

「これってつまり、

 その人の本質って何なんだろうって話なんだけど…、

 結局、つまるところ…、

 人って、その人が何を守るかで、その人間性がわかるんじゃないのかなって。」

「うん?

 ちょっと、頭が疲れてて(笑)、

 直ぐにはわからないんですけど…。

 どういうことですか?」

「そっかぁ…。

 じゃあ、平井さんは今、付き合ってる人とかいるの?」

「え?

 それはまた突然の質問ですね(笑)。」

「あ、ごめんごめん。

 で、どうなの?」

「え?

 マジですか?」

「うん(笑)。」

「今はいません。残念ながら…(笑)。」

「そう。

 かつては?」

「ああ。

 大学1年の時に、ちょっとだけ…。」

「そっかぁ。

 その時、その彼女のことが大事で、

 どんなことをしても守りたいって思ってた?」

「ええー?」

「すまんね、ズケズケ聞いて(笑)。

 でも、どうだったの?」

「いやあ、凄い突っ込みですね(笑)。」

「うん。」

「いやあ、

 どうなんだろ…、

 改めて考えると…。」

「そうか。

 改めて考えてるようじゃ、違ったんだね。」

「え?

 もう結論というか、

 簡単に片づけちゃうんですか?」

「うん。

 だって、実際、そうだったんじゃないの?」

「いやあ、手厳しいですね。

 うん…、

 でも、改めてそう聞かれると…、

 自信もって、そうだとは答えられないかもですね。」

「そっか。

 だから、何を守るかで、その人間性がわかるって、

 そういうことなんだよ。」

「ええー。

 なんか、それだと、

 僕がひどい男のように聞こえるんですけど…。」

「違うの(笑)?」

「そんなぁ…。」

「ごめんごめん。

 いや、こういう恋愛の話って、

 例示としては、わかりやすいんじゃないかな、って思ってね。」

「例示ですか?」

「そうそう。

 あくまでも例示。

 だから、平井さん本人の話でなくても良かったんだけど、

 そのほうがインパクトあると思ってね(笑)。」

「ええ。

 確かに、動揺したというか…、

 こっから先の話が気になりますね(笑)。」

「でしょ?

 でね、おそらく平井さんは、その彼女のことが好きだったんだろうし、

 大事にもしてたんだろうし、守りたいとも思ってたんじゃないかと思うよ。」

「ええ。

 そりゃまあ、大学入って、まだ間がない頃に好きになった子だし…。」

「ほらね。

 今の答えの中に、平井さんの本心があるでしょ?」

「え?」

「つまり、

 単刀直入に、当時、平井さんにとって守りたかったのは、

 その彼女以上に、自分自身だったんじゃないかなと、ね。」

「…。」

「あれ?

 黙っちゃったね。

 これ、別に平井さんを責めたり、非難したりしてるわけじゃないんだよ。」

「ええ…、

 それはわかります。

 なんと言うか…、改めてそう言われると…、

 図星のような気がして…。」

「そう?」

 

この続きは、こちら

更新情報を受け取る