創作読物114「誰のために生きてるんだ」
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
前回は、こちらから。
「で、
さっきの違和感の話に戻ると…、
自分に正直な人生を生きるってことは、
要は、我が道を行く、Going my wayってことだよね?」
「ええ。
そうだと思います。」
「でも、
その、自分に正直な人生を生きればよかった、
というのが、後悔のトップに来るってことは、
よほど、正直に生きていない、
正直に生きることが難しい人が多いってことでしょ?」
「ええ…、
そうなりますねぇ。」
「私はそこに、大いに違和感を感じるだよ。
じゃ、いったい、人生って何なんだ。
誰のために生きてるんだ、ってね。」
「なるほど。
そういう違和感ですね。
確かに、誰でも、自分の人生なんだから、
自分らしく生きたいって思うのは、当然なんだけど、
実際には、それがしにくいと言うか、
できていないってことですからね。」
「確かに、
人が生きていく上には、
いろんな制約とか、しがらみとか…、
そういうのと無関係では生きていけないと言うか…、
それは、歳を重ねれば重ねるほど重くなってくるってのは、
十分わかるんだけども、
それでも、自分が死ぬ瞬間に、
そのことを改めて思い知らされ、
もっと、自分らしく、正直に生きれば良かったって、
後悔して死んでいくなんて…、
なんか、割り切れなくないかい?」
「うーん。
自分らしさを発揮するよりも、
周りの人に気を使って生きる…、
多くの人が、そうやって生きてるってことなんですかねぇ…。」
「そうなのかもね。
でも、
おそらく、葛藤はあるんだと思うよ。
自分らしさを取るか、
周りとの和を取るか。」
「和、ですか?」
「うん。
調和、平和の和だね。
周りと衝突しないってことかな。」
「でも…、
衝突って、
する時にはしないといけないんじゃないですか?」
「お?
なんか、語気が荒くなったね。」
「え?
あぁ…、
ちょっと、興奮しちゃいました。」
「うん。
でも、陽香さんの言いたいことは、よくわかるよ。
もちろん、傍若無人と言うか、
周りを全然無視して行動するのは、論外だけど、
でも、やはり、何か違うと思えば、
きちっと自己主張と言うか、
自分の意見や考えを言うってことは、とても大事だよね。
たとえ、周りと衝突したり、
それによって、気まずいことになったとしても…。」
「ええ。
でも、私、日本人て、
そういうの、あまり得意じゃないと言うか…、
よく、言いますよね?
その点、欧米の人たちは、自己主張が強いって…。」
「そうだね。
よく言われるのは、
日本は、民族が単一に近いから、
話さなくてもわかるとか、
以心伝心とか、ね。
ほんとかなぁ、と思うけど。
それに対して、欧米では、いろんな人がいろんなこと言うから、
自分の考えや立場を主張しないと、
相手にされない、と。」
「よく、聞きますよね。
でも、この死ぬ間際の後悔って、
オーストラリア人へのインタビューなんですよね?」
「そうなんだよ。
日本人が、これを言うなら、すごく納得なんだけど、
オーストラリア人、お前もか?ってね(笑)。」
「ですよね。
私も、それがちょっと不思議で。
でも、そうだとしたら、
これって、世界共通と言うか、
人類共通のことってことなんですかねぇ…。」
「うん。
だとしたら、
余計、考えちゃうよね。」
「ええ、そうですね。
なんか、がっかりと言うか…。」
「うん。
でも、陽香さんね。」
「はい。」
「私はね、こう思うんだけど…。
つまり、この5つの後悔って、
人生の最後での後悔だよね?」
「ええ。」
「だとしたら、
若くして、このことを知ったら、
もしかしたら、その人が死ぬ間際には、
こうした後悔をしなくて済むかもしれないじゃん、てね。」
「後悔しないように、
若いうちから、意識して生きればいいってことですか?」
「そうそう。
つまり…、
自分に正直な人生を生きればよかった、
働き過ぎなければよかった、
思い切って自分の気持ちを伝えればよかった、
友人と連絡を取り続ければよかった、
幸せを諦めなければよかった、
という後悔を、しないように生きればいいんじゃない?」
「自分に正直に生きる、
あまり、働き過ぎない、
自分の気持ちは正直に口にする、
友人とは、なるべく連絡を取り合う、
そして、最後まで幸せになることを諦めない、
ってことですか?」
「そうだね。
どう?できそう?」
この続きは、こちら。
神奈川県立逗子高等学校教諭を経て、1995年度から神奈川県教育委員会生涯学習課にて、社会教育主事として地域との協働による学校づくり推進事業に携わる。
その後、神奈川県立総合教育センター指導主事、横浜清陵総合高校教頭・副校長を経て、2008年度から高校教育課定時制単独校開設準備担当専任主幹。
2009年11月、昼間定時制高校の神奈川県立相模向陽館高等学校を、初代校長としてゼロから立ち上げ、生徒に良好な人間関係構築力とセルフ・コントロール力育成をコンセプトとして学校経営に当たる。
2012年4月から神奈川県立総合教育センター事業部長を経て、2014年3月に神奈川県を早期退職後、学校法人帝京平成大学現代ライフ学部児童学科准教授として、教員養成に携わる。
2018年3月に大学を早期退職し、同年4月に、大学勤務の傍ら身につけた新手技療法「ミオンパシー」による施術所:「いぎあ☆すてーしょん エコル湘南」を神奈川県茅ケ崎市にオープンし、オーナー兼プレイングマネージャーとして現在に至る。
(社)シニアライフサポート協会認定 上級シニアライフカウンセラー。
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