Live Together:ともに生きる その8
「大きな耳、小さな口、優しい目」
皆さん、こんにちは。
エコル湘南の伊藤昭彦です。
先日、ある方から、
「自分は人の話をどうしても最後まで聞くことができずに、
途中でさえぎって自分の考えや感じたことを口にしてしまいがちです。
そうしないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?」と尋ねられました。
エコル湘南でも、施術中によくお客様とコミュニケートします。
何気ない、他愛のない言葉のやり取りに終始する場合もあれば、
時には、ある話題についてガチンコで対話する場合もあります。
しかし、いずれにしても、施術によるフィジカル・ケアに加え、
コミュニケーションをとることで、互いに癒されることが多くあります。
ところで、コミュニケーションの秘訣は、「いかにきくか」だと言われます。
一口に「きく」と言っても、人相手に使う漢字は、次の3つの字があります。
まずは、「訊く」。
これは、「尋ねる」「質問する」という意味で、
こちらが相手に対して「訊きたいことを一方的に訊く」という時に使います。
次に、「聞く」。
これは、一応は相手の言うことを「聞く」のだけれど、
「自然に耳に入る」、「聞き流す」という意味もあり、
真剣に聞いているかどうかは、その時次第といった、
やや無責任なニュアンスも付いて回ります。
そして、「聴く」。
これは、傾聴の「聴」で「注意深く聴く」という意味ですので、
私に質問した方は、おそらくこれが苦手なのでしょうね。
人の話をよく聴くことができる、いわゆる「聴き方上手」の人は、
この「聴く」ということができる人のことなのだと思います。
さて、この「聴」という字をよく見ると、
「耳」と「目」と「心」という字が入っていますので、
「傾聴」とは、「耳」と「目」と「心」を使って、集中して「聴く」
ことなのだ、という人もいます。
まずは「耳」で、人の話を最後まで聴きながら、
同時に「目」で、それを話す時の相手の表情やしぐさまでも見て、
そして、「心」で、それを言う相手の気持ちや感情までも想像する、
ということになるのでしょうか。
確かに、こうした「聴き方」=「傾聴」ができれば、
相手も、気持ちよく自分の考えや本音を語ることができるでしょう。
このように、「聴き方上手」と言われる人は、
「相手の話しやすい環境をつくり、適切なタイミングで質問し、
相手の意見を引き出すことができる人」のことを指すのだと思います。
聞いているふりをして、聞いていなかったり、
一方的に自分の訊きたいことだけ問い詰めたり、という「きき方」は、
相手を突き放し、相手が気持ちを閉ざしてしまいかねません。
ところで皆さんは、
「大きな耳、小さな口、優しい目」という言葉をご存知でしょうか。
この言葉は、7つのプロ野球球団で打撃コーチを30年間勤め、
イチロー選手や中日ドラゴンズの落合監督などの超一流バッターを
何人も育てた高畠導宏さんという方が、
コーチ時代に選手指導のポリシーとしていた言葉だそうです。
高畠さんはその後、58歳で高校教師になったのですが、
惜しくも60歳の若さで膵臓癌でこの世を去っています。
選手の悩みを「大きな耳」で聴き、
「小さな口」で、選手に何かを無理に教えようとするのではなく、
選手自らが考えて、そして教えてほしいと言って来るまで「優しい目」で見守る。
これが高畠さん流の選手育成方法だったそうです。
「大きな耳、小さな口、そして優しい目」。
これは、人の話を聴く「聴き方上手」になりたい人にとって、
多くの気づきを与えてくれる言葉だと思います。
エコル湘南のお客様に接する際にも、常に心掛けたい言葉です。
神奈川県立逗子高等学校教諭を経て、1995年度から神奈川県教育委員会生涯学習課にて、社会教育主事として地域との協働による学校づくり推進事業に携わる。
その後、神奈川県立総合教育センター指導主事、横浜清陵総合高校教頭・副校長を経て、2008年度から高校教育課定時制単独校開設準備担当専任主幹。
2009年11月、昼間定時制高校の神奈川県立相模向陽館高等学校を、初代校長としてゼロから立ち上げ、生徒に良好な人間関係構築力とセルフ・コントロール力育成をコンセプトとして学校経営に当たる。
2012年4月から神奈川県立総合教育センター事業部長を経て、2014年3月に神奈川県を早期退職後、学校法人帝京平成大学現代ライフ学部児童学科准教授として、教員養成に携わる。
2018年3月に大学を早期退職し、同年4月に、大学勤務の傍ら身につけた新手技療法「ミオンパシー」による施術所:「いぎあ☆すてーしょん エコル湘南」を神奈川県茅ケ崎市にオープンし、オーナー兼プレイングマネージャーとして現在に至る。
(社)シニアライフサポート協会認定 上級シニアライフカウンセラー。
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