創作読物 28「メンタルヘルスって、とても大事」

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

前回は、こちらから

 

「それは飯塚さんの実体験ですか?」

「あ、ええ、まあそうですね。

 小学校の時に、そんなことがあったような記憶が…。

 確か、私の質問の内容より、聞き方を注意されたような…。」

「で、その先生は質問に答えてくれたんですか?」

「いえ、たぶん、答えてくれなかったと…。」

「うーん、それはひどいですねぇ。

 それだと質問する子どもがいなくなっちゃうんじゃないですか?」

「そうですね。

 普段から、その先生と話す時は、なんか、みんな緊張するっていうか…。」

「威圧されてた、ということなんですかねぇ。

 いずれにしても、それは不必要な緊張ですね。

 子どもたちが委縮するだけですからね。」

「確かに。

 その先生の顔色をうかがってる感じでしたね、クラスのみんなで。」

「当然そうなるでしょうね。

 でも、教師のほうは、そういうことに無頓着と言うか、

 あまり気にしない人が案外多いんですけど・・・、

 そういう何気ない会話というか、教師の態度や対応がきっかけで、

 子どもが不登校になってしまうケースって、案外多いんですよ。」

「えっ?そうなんですか…。

 でも、改めて考えてみると、そういうことって多いのかもしれませんねぇ。

 私もその時は、学校行くのやんなっちゃった記憶があります、そう言えば。」

「教師の人となりというか…、

 まあ、したがって当然、一概には言えないんですが、

 教師の心無い発言は、生徒に案外刺さるんでね。

 でも、教師の側は鈍感と言うか、あまり感じない人も居てね。」

「でも、なんでなんでしょうかね?

 だって、先生って、子ども好きな人がなるんだろうし…、

 不思議というか、ちょっと理解できないですよね。」

「おっ!

 教師イコール子ども好きですか(笑)?」

「ええ、それが当たり前かと…、

 あっ!えっ?それも当たり前じゃないんですか(笑)。」

「いや、やはり基本、子ども好きなんだと思いますよ、教師は。

 でも、中には、自分は子どもが好きなんだからと思って教師になって…、

 で、なってから、あれっ?って、それが錯覚だったことに気づくとかね。」

「ええ?そうなんですかぁ。

 でも、そういう先生って、どうなっちゃうんですかねぇ?」

「それに気づけば、相当ストレスが溜まると思いますよ。」

「だから、生徒に体罰したりってことになるんですか?」

「いえいえ、そんな単純なことではないですけど…、

 だから、一概には言えないんですよ、そういうのって。」

「なんか、よくわからないですけど…、

 でも、ストレスが引き金で生徒に暴力振るっちゃうって、

 ないんですか?」

「それは…、あるにはあるでしょうね。

 だから、教師のメンタルヘルスって、とても大事なんですよ。」

「メンタルヘルスって、いい精神状態ってことですか?」

「そうですね。

 言い換えれば、心の健康ってことでしょうね。」

「確かに、先生の心が不健康だと、

 生徒の心が健康になんてならないですよねぇ。」

「でも、教師も人間だから、心の状態が不安定になることはあるでしょう?

 とにかく対人関係が基本の仕事ですからねぇ…、

 例えば、対生徒、対保護者、対同僚、対管理職、対地域住民…、とかとかね。」

「そうですねぇ。

 いろんな人を相手にするわけですからねぇ。

 そりゃ、ストレスも溜まりますよね。」

「そういった仕事面だけでもいろいろとあるでしょうし、

 また、プライベートでも、いろいろとあるかもでしょう?」

「なるほど。

 だから、メンタルヘルスが大事だと。」

「そうですね。

 やはり精神状態が安定していないと、おっしゃるように、

 いろんなストレスが引き金となって、生徒に暴力とか、暴言とか…、

 起こしちゃうかもしれませんねぇ。」

「そう考えると、先生って仕事も、ほんと大変ですねぇ。」

「まあ、教師だけでなく、対人援助職に就いてる人はみんな大変ですよ。」

「対人援助職?」

「ええ。

 看護師とか、介護士とか、ソーシャルワーカーとか…、

 人との関わりがメインな仕事ですね。」

「なるほど。

 でも、先生、仕事ってほとんどは対人なんじゃないですか?

 コンビニのレジの人だって、お客さん相手ですよね?」

「それはそうですね。

 でも、何て言うか…、

 その相手の人との関わり具合の濃さと言ったらよいか…、

 お互いに影響を与える度合いで言うと、教師はとても大変ってことに

 なるんじゃないですかね。」

「ああ、なるほどー。

 それに今は、モンスターペアレンツですか?

 保護者を相手にするのも、とても大変なんじゃないですかね?」

「そういう場合もありますね。

 学校…、つまり教師も保護者も、

 子どもの成長を願うということでは、一緒に考えられるはずなんですけど、

 それがなかなか意思疎通が難しいというか…。」

「以前見たテレビで、オランダではモンスターペアレンツなんていないって、

 言ってましたけど…。」

「それは保護者が教師や学校を信頼してるってことでしょうね。

 それも、妄信ではなくて、ちゃんといい教育してくれてるっていう、

 安心感があるんじゃないですかね。」

「信頼関係ですか。」

「ええ。

 だから、さっきのミクシィも、双方に信頼関係がないと、

 聞かれるほうは、やがて、ウザい、うるさいってなるだろうし、

 その結果、聞くほうが邪険にされるってこともあるんじゃないですかね。

 教師も生徒も、お互いにね。」

「親と学校とでは、どうなんでしょうね?」

「オランダやフィンランドでは、おそらく、ミクシィ?って使っても、

 建設的と言うか、有意義な話し合いができるんだと思いますよ。

 でも、日本でそれやったら…。」

「日本では、学校と親の関係って、微妙ですよねぇ。」

「そうですね。

 日本では険悪になっちゃうかもですね、関係が。」

「でも、なぜなんでしょうかねぇ…。

 さっきおっしゃったように、子どもの成長を願うということでは、

 親も学校も一緒のはずなのに…。」

「これは、双方に原因があるとは思いますけど、

 敢えて保護者側の原因を挙げるとすれば…、

 そうですねぇ…、

 学校のことに対する情報不足、偏見、先入観、わが子可愛さ、

 学校に対する根拠のない妄信、かと思えば、面従腹背…。」

「なんか、次から次へと出てきますねぇ…。

 まるで親のほうが一方的に悪いみたいに聞こえますね!」

「ええ、ですから、敢えて保護者側の原因を挙げるとすれば、ですよ(笑)。」

「じゃあ、学校側の原因は何なんですか?」

 

(つづく)

 

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