創作読物122「自分のことは自分で責任取るから」

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

前回は、こちらから

 

「じゃあ、今日はこれで失礼します。

 ずいぶん長い間、お邪魔しちゃいましたね。」

「あ、もうこんな時間か。

 じゃあ、動き出せば、いろいろとあるとは思うけど、

 頑張って。」

「あ、はい。

 ありがとうございました。

 さようなら。」

「はい、さようなら。」

                                   

(数日後)

 

「あ、もしもし、藤井先生ですか?」

「ああ、陽香さん?」

「あ、はい。

 今、お電話大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ。

 例の件?」

「ええ。

 あれから、まず、母に話しました。」

「どうだった?」

「ええ。

 はじめはびっくりしてたけど、

 認定試験の説明したり、

 大学で心理学をやってみたい、と言ったり…。

 で、藤井先生にも相談して、賛成してもらったことも。」

「そっか(笑)。

 でも、賛成したっけ?私。」

「え?反対なんですか?」

「いや、そういうことではないけど…。」

「でも、先生に話したと言ったら、

 母は安心したみたいで…。」

「そっか。

 じゃあ、お父さんは?」

「父は案の定、反対。」

「お父さんは何だって?」

「いえ、特に反対の意見や考えがあるわけじゃないんです。

 とにかく、反対だ、の一点張りで。」

「そうなんだ。」

「いや、でも大丈夫です。

 いつものことなので。」

「そうなの?」

「ええ。

 とりあえず、自分の意見は言ったということで、

 結局は、私次第なんで。

 つまり…、自分では責任取りたくないってことなんです。

 だから、私も自分のことは自分で責任取るから、と。」

「それで、大丈夫なの?」

「ええ。

 いつものことなんで(笑)。」

「そうですか…。」

「あ、それで、平井先生にも連絡しました。」

「あ、そう。

 平井先生は何だって?」

「詳しく話を聞きたいんだけど、と。」

「そう。」

「でも、できれば、藤井先生の所で、

 3人でお話したい、と伝えたら、

 最初は戸惑ってましたけど、

 少し考えてから、了解ですと。」

「あ、そう。」

「おっしゃってたように、

 平井先生って、感じの良い先生ですね。」

「でしょう?」

「なんか、認定試験の資料とかも、

 持ってきてくれるって。」

「そっか。

 良かったね。」

「で、先生、来週のどこかで平井先生とお邪魔したいんですけど…。」

「あ、そうか。

 ちょっと待って…。

 ええと、時間はたっぷりあったほうがいいんだよね?」

「ええ。できれば。

 すいません。」

「じゃあ、来週の火曜日か金曜日の、18時からではどう?」

「火曜か金曜の18時ですね?

 じゃあ、早速平井先生のご都合を聞いて、

 また、電話しますね。明日にでも。」

「了解。」

「あ、それから今、

 ここに母が居るんですけど、電話代わってもいいですか?」

「あ、お母さんね、いいよ。」

 

「あ、もしもし、飯塚です。

 いつもお世話になっておりまして…。」

「ああ、ご無沙汰してます。」

「なんか、このたびは陽香がいろいろとわがままを申しまして、

 申し訳ございません。」

「あ、いえいえ、そんなことはないですよ。」

「いつから、考えていたのか分からないんですけど、

 急に、高校辞めて、認定試験て言うんですか?

 それを受けたいとか言い出しまして…。」

「ええ、そうみたいですね。」

「私は、我が子のことながら、

 そういうことでいいのかどうか、

 正直、試験のことも初めて知りましたし、

 よくわからないので、先生と担任の先生が一緒に

 相談に乗ってくださると聞いて、

 ほんとに何とお礼を申し上げたらよいのか、

 本当にありがとうございます。」

「あ、いえいえ、大丈夫ですよ。

 また、報告しますので。」

「ありがとうございます。

 では、なにぶんよろしくお願いします。」

「あ、すいません。

 もう一度、陽香さんに代わっていただきますか?」

「あ、はい。

 ちょっとお待ちください。」

 

「あ、陽香さん?」

「あ、はい。」

「ところで、不登校のきっかけについては、

 まだお母さんには言ってないのかな?」

「あ、ええ。

 まだです。」

「そっか。

 一段落したら、言うつもりなのかな?」

「そうですね、そうするつもりです。」

「わかった。

 じゃ、また連絡を待ってるから。」

「はい、ありがとうございます。

 では、失礼します。」

「はい、さよなら。」

 

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