創作読物47「原因は全然別のところにある」
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
前回は、こちらから。
「はい。お疲れ様でした。
どう?ちょっとスッキリしたかな?」
「あ、はい。
でも、なんか…、まだ、ボーっしてる感じで…。」
「ああ、そうだね。
ずっと、横になってたのと…、
それからたぶん、血行が良くなって…、
なんか、身体が温かくなった気がしない?」
「ええ、そうですね。
なんか、フワフワしてる感じがします。」
「で、どう?
頭痛のほうは?」
「そうですね。
なんか、首回りが柔らかくなった気がして…、
頭のほうも、重く感じなくなった気がします。」
「そう。
もう少し時間が経つと、もっとはっきり効果が感じられると思うよ。」
「そうですか。」
「じゃあ、あっちでお茶飲む?」
「あ、あの、おばあさんが言ってたお茶ですか?」
「そうそう、ローズヒップのね。」
「はい、楽しみです。」
「うん。
じゃあ、用意して待ってるから。」
「はい、ありがとうございます。」
・・・・・・・・・・・・・・
「どう?
おいしい?」
「うーん。
まあまあ…、かな。
すいません。」
「いやあ、別に謝らなくても…、
嗜好品だから、口に合う合わないは、人それぞれなんだけど、
身体にはいいと思って、出してるんだよ。」
「私、酸っぱいのは、ちょっと苦手なんで…。」
「そうか。
じゃあ、他のハーブティのほうが良かったかな。
もし、あれなら、残してもいいからね。」
「あ、いえ、大丈夫です。
いただきます…。
ところで…、
トリニティってのは、どういう意味なんですか?」
「ああ、トリニティ・サロンのトリニティ?」
「ええ。
なんか、前にどこかで聞いたような気がするんですけど…、
意味までは分からなくて…。」
「そっかぁ…。
別に勿体つけるわけじゃないけど…、
陽香さん、自分のスマホで調べてみたら(笑)?」
「あ、そうですね(笑)。」
「どう?
何て書いてある?」
「えーと…、
三つで一組みになっているもの。
さんいいったい?って書いてあります。」
「ああ、さんみいったいね。
三位って書いて、さんみ、って読むんだよ。」
「三位一体?」
「そう。
もともとは、三位一体って、キリスト教から来てるんだよね。
ほら、神と子と聖霊の御名において、って聞いたことない?」
「ああ、それ、聞いたことあります。
確か…、ダ・ビンチ・コード観た時だったっけかな。」
「へぇ。
映画好きなんだ、陽香さんは。
でも、ダ・ビンチ・コードって、難しくなかった?」
「ええ。
なんか、細かなことは、よくわからなかったけど…、
スリルというか、推理小説的で、なんか、引き込まれちゃって…。」
「なるほど。
でね、その、神と子と聖霊っていうのが、
三つのものが本質的には、一つのものであって、
つまり、一体だってことなんだよね。」
「うーん。」
「よくわからないよね(笑)。」
「あのう…、
先生は、キリスト教信者なんですか?」
「ああ、クリスチャンかどうかってこと?」
「ええ。」
「私は、実は敬虔なるクリスチャンでなく、
経験あるクリスチャンね(笑)。」
「???」
「ははは。
混乱しちゃった?
まあ、ちょっと、かじったって程度ね(笑)。」
「そうなんですか。」
「とにかく、トリニティ、三位一体ってのは、
三つのものが、分けることができなくて、
元は一つ、ってことなんだけど…、
なので、ここを始める時にね、
ここでの大事な三つのものって何だろうって、考えて、
すると、やはり、身体と心と健康かなって。」
「それは…、
どれ一つ欠けても、完全ではないってことですか?」
「そう、そのとおり。
そしてそれは、何らかの障害があろうが、なかろうがね。
でも、陽香さんは、賢いねぇ。」
「いえ、そんな…。」
「だから、ここでは、
身体と心を同時にケアすることで、本当の健康を手にすることができる、
ってことを売りにしてるんだけど…、
それで、トリニティって付けたわけ。
でも、陽香さんなら、この大事さ、理解できるんじゃないかな?」
「あ、はい。
そうですね、わかります。」
「現に、陽香さんの頭痛とかだって、
直接的には、筋肉のロック、強張りによる血行不良なんだけど、
じゃあ、なんで、筋肉がロックするかって言うと…、
寝不足もあるんだけど…、それだけじゃないでしょう?」
「あ、ええ、そうですね。」
「夜更かししちゃう理由とか、
寝つきが悪い理由って…、
きっと、あるんだよね?」
「ええ、まあ、そうですね。」
「施術する前に、言ったように、
肩こりや頭痛ってのは、あくまでも症状、結果であって、
原因は、全然別のところにあるってことが、よくあるわけだからね。」
「ええ。」
「じゃあ、その原因が何なのか、
一緒に探って行きたい?」
「あ…、
ええ、そうですね。」
この続きは、こちら。
神奈川県立逗子高等学校教諭を経て、1995年度から神奈川県教育委員会生涯学習課にて、社会教育主事として地域との協働による学校づくり推進事業に携わる。
その後、神奈川県立総合教育センター指導主事、横浜清陵総合高校教頭・副校長を経て、2008年度から高校教育課定時制単独校開設準備担当専任主幹。
2009年11月、昼間定時制高校の神奈川県立相模向陽館高等学校を、初代校長としてゼロから立ち上げ、生徒に良好な人間関係構築力とセルフ・コントロール力育成をコンセプトとして学校経営に当たる。
2012年4月から神奈川県立総合教育センター事業部長を経て、2014年3月に神奈川県を早期退職後、学校法人帝京平成大学現代ライフ学部児童学科准教授として、教員養成に携わる。
2018年3月に大学を早期退職し、同年4月に、大学勤務の傍ら身につけた新手技療法「ミオンパシー」による施術所:「いぎあ☆すてーしょん エコル湘南」を神奈川県茅ケ崎市にオープンし、オーナー兼プレイングマネージャーとして現在に至る。
(社)シニアライフサポート協会認定 上級シニアライフカウンセラー。
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