創作読物119「私の中では、もう終わったことなので…。」

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

前回は、こちらから

 

「まあ、そうですね。

 と言うか…、

 めぐみとのことや、

 周りからいじめを受けたことで、不登校になったと、

 まあ、そういうことにしちゃったんです。

 いろいろと説明するのも、面倒臭かったので。」

「えーと、

 ちょっと待って陽香さん。」

「え?」

「あのう、

 さっき話してくれたK子という子と、めぐみさんは…。」

「あっ。

 ごめんなさい。

 同一人物です。

 さっきは、まだ本名で言うのは、ちょっとためらいがあって…。

 部活の顧問のイニシャルと一緒にしちゃったんです。

 ほんと、ごめんなさい。」

「そっかぁ…。

 了解、了解。

 じゃあ、いずれにしても、家の人や学校の先生たちは、

 不登校の本当の理由を、わかってはいないということなんだね、

 今でも。」

「はい、そうですね。

 本当のことは、話してないので。」

「やはり、部活の顧問の先生のことが原因…、かな?」

「…そうですね…。

 それがメインで、めぐみ達とのことは、

 ダメ押し、ですかねぇ(笑)。」

「ダメ押しかぁ…。」

「確かに、

 めぐみ達に誤解されちゃったことは、

 余計に人間不信になっちゃったんですけど…。

 でも…、

 この前、母から先生の、誤解はする方だけでなく、

 される方にも問題がある、っていう話を聞いて…。」

「え?」

「そんな話、しませんでしたか?母に。」

「えーと…。

 ああ、

 人に誤解を与えるような言い方や、

 人から誤解を受けるような物言いをしてる側にも、

 問題があるんじゃないのかなって、話かな?」

「あ、そうです。

 その話を聞いた時に、

 確かに、安田先輩がめぐみにどんなことを言ったのかは

 わからないけど、

 でも、めぐみと私とが本当に仲のいい親友だったなら、

 めぐみもそう簡単に私を悪く思うようなことはなかったんじゃないかと。

 つまり、そうなっちゃったのは、

 めぐみだけでなく、私のほうにも、何か原因があったのかもしれないと、

 そんな思いが湧いてきて…。」

「うん。

 そのあたりのことは、私にもわからないけど、

 でも、人間関係が崩れる時ってのは、

 どちらかに一方的に原因があると言うよりも、

 どちらにもそれなりの原因・理由がある、と言ったほうが、

 一般的だよね。」

「ええ。

 今なら、それはよくわかります。

 でも、当時は、私はめぐみをとても憎んだというか…、

 もう、顔も見たくなくなって…。

 なので、それを理由にしちゃったんです。」

「そういうことだったんだね。

 でも…、

 それはメインの理由じゃないんだよね?」

「…ええ…、そうですね…。」

「それは、

 そのままでいいの?」

「どういうことですか?」

「つまり、真相究明しなくていいの?ってこと。」

「真相究明…、ですか。」

「うん。」

「セクハラのですか?」

「そうだね。」

「でも、

 私は、先輩がマッサージされてるところを、

 ちょっと覗いただけだし…。

 証拠がないと言うか…。

 それに、直接的な被害者は安田先輩なんで…。

 先輩が訴えれば別ですけど…。」

「陽香さんが見たことだけで、立派な証拠にはなるけど…。

 でも、確かに、被害者は先輩だからねぇ…。」

「ええ。」

「先輩は、

 その後、どうなったの?」

「どう、というか…。

 私は、学校行かなくなっちゃったので、

 その後のことはよくわかりませんけど、

 普通に、高校受けて…、受かって…。

 でも、もうバスケはやめたって、

 噂では聞きました。」

「そうかぁ…。

 ところで、陽香さんが不登校になって、

 担任とか、顧問の先生は、陽香さんに会おうとはしなかったの?」

「担任の先生は、家庭訪問に来たけれど、

 私は会いませんでした。

 担任の先生は、いい先生で、いろいろと心配してはくれましたけど。

 でも、顧問は、その後、一回も会ってません。」

「じゃあ、家にも来なかったわけ?」

「そうですね。

 そのほうが良かったですけど。」

「そうなんだ。

 じゃあ、陽香さんとしては、

 顧問のことは、今更蒸し返したくないわけかな?」

「そうですね。

 私の中では、もう終わったことなので…。」

 

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